万引き保安員(♀)を見抜き、観察してみた話
恐らくは引き継ぎの瞬間
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大阪にある、某商業施設。
その日、僕は妻子を連れ、そこに入っているドンキホーテで買い物を楽しんでいました。鼻毛用のブラジリアン・ワックスが売り切れで買えなかったのは無念だったものの、それ以外は概ね欲しいものは買え、嫁も満足そうです。
「もう今日はここで、買い物全部終わらせちゃいましょ🎵」
いつもは近所の激安スーパーを主戦場とする愛妻も、3連休に気が緩んでいるのでしょう。〆は、同施設内のスーパーへ。値段は諸々高いみたいだけど、ま、彼女が「よし」と言えば、我が家はもうそれで全てが【ザッツオール】なのです。
ただ、思わぬ事件はそこで起こりました。
最近の事件は会議室ではなく、どうもスーパーで起きるらしいです。
(えっ!?今のアイ・コンタクトは、一体何だ!?)
それはちょうど、旅寅一家が生鮮食品売り場にある、従業員用のバックルームへの入り口近くに差し掛かった時でした。
私服の従業員らしき女性(50代、柴〇理恵似)が奥から出てきて、僕の目の前を通り過ぎる際、すれ違う女性(40代、小〇百合子似)とほんの一瞬、目で合図し合ったのです。恐らく、視線の会話の内容は、こんな感じでしょうか。
(じゃ、あと宜しくね百合子!この店の平和はあなたに託したわ)
(OK、理恵、任せて!このイズ〇ヤに、悪の栄えた試しなし、よ!)
一瞬、まさに刹那のことです。
2人が油断した、というわけでは決してないと思います。
事実、店内のお客の99.9999・・・%は気付いていませんでしたから。
というか、そんなもん、気付く方がおかしいのかもしれません。
ところがタイミングというものは確かにあるもので、その一瞬をたまたま視界に捉え、何となく洞察してしまった男がいました。
鼻腔に貼り付いたハナクソを懸命にほじり取ろうとしながら歩く、旦那でありパパでもあるメタボなオッサン・・・。
・・・そう、旅寅(僕)です。
(フン・・・万引き保安員って奴か?脇が「みたらし団子並みに」甘いぜ、ベイベー・・・)
時間的に考えて、中から出てきた理恵の方は、遅い昼食か退勤か、ってところでしょうか?もしくは、これから2人同時に店舗を巡回するのかもしれません。
ただ、さり気に動向をチェックすると、理恵は手ぶらで店外へ出るようでした。
それに対して百合子のスタイルは、カートに自分のカバンのみ。入ってる商品は皆無です。僕はすかさず嫁に耳打ちしました。
「ママ、あの前の百合子、万引き保安員や」
「ゆ・・・百合子!?何でそんなことが分かるん?」
「今、奥から出てきたおばさんと視線で「引き継ぎ」をしたんや」
「ほんまかいな(笑)」
「ほんまや!間違いない!!パパを信じろ!!」
「し・・・信じるのはええけど・・・」
「もしこれが当たってたら、今日の俺はアムロ・レイ並みに勘が冴えまくってるっちゅうことやから、帰りにロト6買うぞ!!」
「う・・・うん。ま・・・まぁ、違うと思うけど??」
こうして、旅寅一家(というかパパのみ参加の)の小さな冒険は始まったのでした。
百合子をロックオンすると・・・
スーパー入り口のカート置き場から生鮮食品売り場までの距離を考えれば、その時点でカートにカバン以外何も入ってないのは、不自然極まりないと言えます。
背後から何となく見ていると、百合子は商品を手に取るどころか見ることもせず、パン売り場まで進みました。もう、レジは至近です。
彼女がもし僕の洞察通り保安員なら、このまままた店内を回るのでしょう。見立てが外れていれば、何かを手に取ってレジに向かうはず。
もうその時点で、僕は
(ブログのネタができちゃった)
と思っていました。うん、こういうのを「降って湧いたような」というんだろうな。
ただブログに書くとなると、せめて自分の洞察が当たっていたかどうか「オチ」だけは確認して帰りたいわけで・・・。
「ママ、どう思う?まだカートに何もなしやで?」
「・・・うん・・・さすがにアレは不自然というか・・・完全に保安員やわ。あっ!パパ!?」
カート置き場→果物→野菜→生鮮→パンという外周コースから逸れ、ラーメンやお菓子などがある並列コースの真ん中を抜け、振り出しへ戻ろうとする百合子。こうなればほぼ確実です。さすがに何もカートに入れないままスーパーを1週し、また振り出しへ戻る一般の主婦はあまりいないでしょう。
「ママ・・・もう買うもんないか?」
「あ、スパゲティ忘れたわ、私パン買ってるから、パパ、取ってきてくれへん?」
「ラジャー!!」
嫁のパン選びはヘビの交尾並みに長く、それは今の僕には好都合でした。別に万引き犯になるつもりはありませんが【今後スーパーに行くたびに保安員を見抜く】という特殊能力を身につけるには、この観察は有意義なはずです(?)
見慣れた百合子の後ろ姿からは、約3m。
これで彼女がこのままここを突っ切り、果物コーナーあたりまで戻って外周をまた回り始めれば、もう「見抜いたブログ」を書いてもいいでしょう。
ところが事態は思わぬ方向に動きました。
何と百合子さん、いきなりのUターン!
頭の動きと視線をチェックするに、どうやら誰かを「ロックオン」したのかも!?
旅寅と百合子のアイコンタクト
旅寅→百合子→怪しい奴
こんな図式ができた日にゃ今度はその「怪しい奴」が気になり始めてしまいますし、更に言えばソイツと百合子の攻防もついつい最後まで見届けたくなります。ただ、嫁もさすがにそれは待てないはずで、今の僕の最優先の使命は、彼女にスパゲッティを届けること一。そう、人間はそれぞれ異なる使命を背負って生まれてくるものです。さすがに「スパゲット」以降も百合子を追跡するのは、僕の趣味ではありません。彼女の業務を邪魔してはいけないし、何より僕にロックオンされていることを保安員側に気付かれるようでは、保安員ウォッチャーとしての僕の矜持はボロボロです。それに、このまま百合子の背後を歩き続ければ、万引き犯が捕まるより先に、僕が「変態」として捕まってしまうかもしれません。
(じゃ、せめて最後に・・・)
僕は、すれ違う百合子の目を敢えて見て、無言のメッセージを送ることにしました。
一瞬交錯する、2人の視線。
(東京を・・・いや、イズ〇ヤを頼んだぞ、百合子!ただ俺ごときに保安員と見抜かれているようではダメだ。もっと精進して、最高の万引きGメンになってくれ・・・)
(ゲッ?何、コイツ?キモッ(; ・`д・´))
スパゲティを手に自身を見るオッサンに怪訝そうな一瞥でそう応え、また店内の雑踏に紛れてゆく百合子。TVの情報番組で凄腕保安員のドキュメントを見たことは幾度もありますが、本物に気付いたのは初めてでした。
「ってかパパ、よー気付いたね?言われな全然分からんかったわ」
「いや~・・・ラッキーやったわ!俺の洞察もなかなかのもんやろ!?」
「あっ、ホラ、パパ、まだ何も入ってない・・・」
嫁に促され、レジを抜けた場所から店内を望めば、そこにはいまだ、カラのカートを押しながら、パンコーナー付近で鋭い視線を周囲に向ける百合子の姿がありました。確かにあのアイコンタクトがなければ、ぜっっっっっっったいに気付かなかったであろう普通のオバサンです。
「さ、宝くじ売り場行くか!」
ロト6とワンピーススクラッチを1000円づつ購入して、本日の買い物は終了。帰路の車内でも「俺って凄いよね?」と妙な自慢を続ける旦那に、嫁は冷たく言いました。
「ってかさ・・・「保安員」って周囲に気付かれた方が万引きの抑止力になるんとちゃうの?ってことは、特に普通のお客に完全になりすます努力は・・・してへんのちゃうかな?気付かれるのも珍しいことじゃないというか・・・」
「はっ!?ってかお前も「よー気付いた」って言ってたやん!?」
「っていうか、そんな意味のないとこで勘働かせるんなら、ロト6の方でそれを発揮して欲しいんですけど・・・」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
その日、僕のロトがどうなったかは・・・言うまでもないですな。
PS
スクラッチは200円GET。
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