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夜行性🌙サナトリウム

大阪在住のオジサンが戯言、譫言、寝言の数々を綴ります。

元風俗店オーナーが書く、風俗店の現実~Y嬢・命の危機~

自論、持論

Aちゃんが風俗嬢になったワケ

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※当ブログ主のコラム、好評連載中

今回は「大阪裏観光マップ」!?

work-mikke.jp

面白いので是非、ご一読を♬

分岐点は彼との別れ

Aちゃんは結構なお嬢様気質の天然系で、開店当初は友達の部屋に転がりこんで(半額家賃を払って)暮らしていた。その友達とは、アム〇ェイ絡みで知り合ったらしい。勧誘され、夢を見て、活動を始め、でも思い通りにいかない・・・というのは、ネットワークビジネスの王道パターンだ。

 
そしてそのうち、彼女は友達であるはずのその子とその親玉に、数字のことで追い込まれるようになっていった。
 
やめろと何度言っても、聞かない頑固なAちゃん・・・。
 
彼女が風俗に流れてきたのは、生きていく為である。
付き合って同棲していた彼氏との間には1度子供も授かったらしいが堕胎を迫られ、挙げ句の果てに向こうは『違う人と結婚する』と言って彼女を捨てたそうだ。
 
仕事は、元々は美容師。
 
専門学校を出てすぐ、地元の美容室に勤めるも、そこのオーナーから執拗にセクハラを受け、1年で退店。
 
本人的には彼と結婚するつもりだったからこそすっぱり辞めたらしいが、フラれたことによって、Aちゃんの人生は大きく狂いだした。
 
美容師として再就職しようにもあの業界もなかなかなかの薄給らしく、結局彼女は色んな仕事を転々としながらフリーターになり、その過程で借金を重ねて、最終的には『割りきり』をするようになってしまった。
 
そしていつしか・・・それをすることに全く抵抗がなくなってしまい・・・
 
以前、何かで読んだことがある。
 
体をお金で売った経験のある女性と、そうじゃない女性では、脳内の何かが大きく異なるのだという。それが本当かどうかなんてどうでもいいけど、確かにうちの店にいる嬢達を見ていると、その一線は、できるなら越えない方が良いかもしれない。
 
いや、『女性が体を売ること』に関しての是非のことを言ってるんじゃないのです。
 
そりゃ自分の娘が大きくなって、
 
『『プリティウーマン』のジュリア・ロバーツみたいな風俗嬢になりたい!』
 
と言ったら・・・さすがに父親として止めると思うのです。
でもそれは、倫理的・世間的・法的に風俗嬢が悪いから、後ろ暗いから止めるんじゃなくて、体や心への負担、そして本人に対する世間の目が心配だから、女性がする仕事としては最高クラスに大変だと知っているから、止めるだけでして。
 
職務としての風俗嬢を、否定するつもりは毛頭ありません。そういう仕事は社会に絶対に必要なものだと捉えてます。そういう生き方を自分で選ぶ女性がいてくれて、本当にありがたいとさえ思うほどですね。
 
(男性の昂りを諌める仕事)
 
実際に紀元前からある伝統ある仕事だし、どの時代のどんな国にもあったであろう仕事だし、そりゃあ、法律で規制を受ける仕事ではあるけれど、それを悪とするなら、やはりそれは【必要悪】というか、なくなることは考えにくいと思うのです。
(なくなったら確実に犯罪は増えるんじゃないかな?)
 
だって戦争や侵略の歴史を振り返れば、それはもう強姦の歴史でもあります。 
つまりは無法化した場所、何をしても罪が問われない状況では、多くの男が即座に女性を襲うということ。(全ての男性の本質がそうだ、というわけじゃないですよ(笑))
この現在の、平和で、まだ治安が保たれた日本にいればあまりピンと来ないし、自分は理性があるからそんなことしないと・・・僕自身も思いますが、極限状態になった時のことなんて憶測では語れないし、果たして世界中のオスがみんな理性的だ、とは、誰も言い切れないと思うんですね。(ちなみに僕の妹の旦那はスパニッシュ系ブラジル人ですが、ブラジルでデリヘルは不可能だと言っておりました。そんなもん、無事で帰ってくるわけがないと)
 
具体名はあげませんが、明日、某国が攻めてきたら、兵士である男達は、日本の女性達に一体何をするでしょうか・・・?
 
前の記事でも『男子の性欲は笑い事じゃない』と書きましたが、だからこそ僕は、嬢をありがたいと感じています。
 
ちなみに僕はオーナーもしていましたが、その時期以外に『元』ではあるけど風俗嬢と付き合ったことがあるし、過去の彼女には割りきりの経験がある人もいました。別に抵抗もないし、仮に今の嫁が『実は昔ソープにいた』とかカミングアウトしても、
 
『言ったからにはウチの風呂に今夜からスケベイスを置こう!!』
 
で終わりですね(『今昼間パートでしてる』ってんならさすがにビックリしますが(笑))そんな風に抵抗がなくなったのは、まさしく風俗店を営んだからです。要は女性にとって仕事や遊びでするHが、いかに過ぎてしまえばどうでもいい取るに足りないことか、よく分かったんですな。
 
ちなみに。
 
僕は何人もの嬢にもの凄く興味深い話を聞きました。
 
嬢を開始した直後は、女性ってやっぱり少し、仕事だといっても興奮するんだそうです。つまり本気で気持ちよがって、ビショビショに濡れることもあった、と。
ところが3ヶ月もそんな生活が続けば、3Pしようが駅弁されようが何されようが、皆何も感じないんだそうな(笑)中にはもうどうにも濡れなくなる人も多くいて、仕込み用のローション使わないと痛い、という子まで・・・。
 
で、客の「上手い下手」なんですが。
 
(この人上手い!仕事忘れそう!!)
 
というくらい感じたことがあるのは、3年やって皆1人いたかどうか・・・とのことでした(何百分の1くらいですか?)
 
「男なんて99%皆同じようなもんですよ。激しいのとか遅漏なこととか変態なことが上手いと感じてる人とかほんと痛い。大きさとか太さとかも、そりゃあまりにちっちゃい人はちょっと気の毒かもしれないけど、最終的には、好きな人とするごく平凡なHが1番幸せだし最高です」
 
これは1人の意見じゃなくて、殆どの嬢がしみじみ言ってたんで、本当のことなんでしょうね。ちなみに嬢の言う「上手い」というのは、どちらかといえばキスや指〇ン、ク〇二的なもののことを指しているようでした。ま、誰かの参考になる話じゃありませんね(笑)
 
おっと、話が逸脱しました。戻しまして・・・
 
・・・では職務として風俗嬢をするのは良し、とするなら、何で一線を越えない方がいいと思うか、なんですが・・・。
 
要はそれが、プロの風俗嬢とアマチュアで割り切りする人の差、なんですね。

「社会人」として風俗嬢をする人は暴走しない

風俗店という場所には、実はルールが沢山存在します。店長やオーナーともうまくやらなければならないし、待機所には嬢同士の派閥や人間関係もある。

要は風俗嬢は社会人的側面をきちんと持っているのです。保険証は発行されないにしても・・・です。

ところが割り切りを専業でして生きている独り暮らしの女性の多くは、起きたい時に起き、食べたい時に食べ、寝たい時に寝て、お金がなくなったらお客を取り・・・という生活をしております。勿論、避妊や病気に対しての意識も低く、色んな意味で行き当たりばったりなのです。

僕が見つけた5人の嬢のうちの3人は、まさにそんな状況でした。借金があり、お金に困った時だけ割り切りをし、光熱費や携帯代、返済はいつもギリギリで、プライベートではダメンズに苦労させられており・・・という状況。

 

そんな生活が体の芯まで染み付いた彼女らに、普通の風俗店などは務まらなかったと思います。僕の店は自分でいうのもなんだけど、嬢には物凄く甘かった。それは多分師匠と違い、僕自身が、一生風俗をしていくという覚悟を持てなかったからかもしれないですね。そしてその甘さこそが、皮肉にもこの店が3年も続いた要因だったと思います。

 

・・・結局Aちゃんはアム〇ェイをやめると同時に部屋を追い出され、行き場を失い僕に泣きついてきました。開店して半年後のことでありました。

 
「・・・待機所に住ませてくれっていうんやろ?」
 
「・・・えっ!?何で分かったんですか!?」
 
「いや、目がもうそう言うてるから・・・(笑)」
 
「スイマセン・・・"(-""-)"家賃半分払うんで・・・ダメですか??」
 
「家賃はいらんわい。別に構わんけど、ただな、男を連れ込むのは絶対禁止!あくまでお店の部屋やし、他の子達の部屋でもあるからな。誰か好きな男ができたならそっちの部屋に転がり込むか、自分でお金貯めて部屋借りること。それか、目的額貯まったらさっさと足洗うって感覚で今頑張って仕事しぃや?」
 
「は~い(^^♪」
 
この半年の送迎中、Aちゃんが客に惚れた恋愛相談を何度も受けてきました。彼女はとにかく惚れっぽくて、すぐに人を信じてしまう子です。
そういえばこんなこともありました。
 
「オーナー、私、近く結婚して店辞めるかもしれません」
 
「えっ!?そんなまっとうな彼氏おったっけ!?」
 
「いや、先週出会った人なんですけど・・・」
 
「あ、お前、さては店外で客取ったな!?」
 
「・・・で、ですね、彼がいずれ結婚したいと・・・」
 
「はいはい・・・。で、何してる、どこ住んでる人や?」
 
「・・・会社員で・・・市内とか言ってました。詳しくはまだ・・・」
 
「そ・・・そうか(汗)名前くらいは知ってるんやろな??」
 
「竜輝です。津崎竜輝」
 
「つ・・・津崎??「竜の輝き」か??何か格闘ゲームのキャラみたいなデキすぎた名前やな!?「昇竜波!!」とかいうて手のひらからビームとか出てないか!?携帯番号は知ってるんか?電話は繋がるんか??」
 
「番号は知ってます。夜は今・・・入院してるとかで電話出れないんですけど・・・昼間は繋がります」
 
「そりゃお前、偽名やし入院もしてるかいな(笑)既婚者か、もしくは女がおる奴でしょうよ"(-""-)"試しに今電話して、入院してる病院名と部屋番号聞いてみ??お見舞い行きたいからって・・・」
 
素直に聞くAちゃん。表情が暗い。
 
「近〇病院やって言ってましたけど・・・見舞いは来なくていいって・・・」
 
「あとでもう1回電話して、「何で見舞いに行ったらあかんの!?怪しい!」って強めに言ったあと、優しく「嘘でしょ?夜は出れないんでしょ?」って言うてみ?すぐゲロしよるわい」
 
翌日、送迎者に乗り込んでくるなりAちゃんは言った。
 
「ほんまに嘘でした~(´;ω;`)オーナー、何で分かったんですかっ!?」
 
「何でというか・・・「津崎竜輝」の時点でピンと来るでしょうよ!?ま、夜電話繋がらんっていうのはベタな話でっせ??・・・んで、いくら貸したんや??」
 
「えっ!!?"(-""-)"」
 
「貸したやろ??」
 
「・・・はい(; ・`д・´)1万円だけ・・・」
 
「はぁ・・・懲りん奴やなお前も(笑)」
 
Aちゃんは一事が万事この調子で、とにかく目が離せない子でした。ただ、メンタルが強靭な究極のポジティブ思考だったので、落ち込むことがなかったのです。残りの【問題あり系】の2人と大きく異なるのは、そこでした。店のムードメーカーでもあり、オーナーとしては、放っておいても稼いでくれるYちゃんやEちゃんとはまた違った意味で、ありがたい存在だったわけです。
 
そうこうしているうちに1年が過ぎた頃。
 
僕は自分の彼女が妊娠してしまったこととの兼ね合いで、早急に仕事を探すことになりました。さすが親御さんに挨拶に行くのに「風俗やってます」はマズい。お店の嬢は2人増えて7人となり、相変わらず売上げは順調だったのですが・・・。
 
(誰かに譲ろうか、それとも店長を雇うか、もしくはたたむか・・・)
 
お金は1年で十分稼ぎました。郊外の公団の払い下げ、地区30年以上の物件とはいえ、3LDKリフォーム済のマンションも買って(たった500万円でした(笑))家賃からも解放されたし、これからはノンビリやってゆきたいところです。
師匠である坪井氏は「そんな事件、起きない」と断言していたけれど、いやいや、この1年、1、2回ですが・・・重たいこともありましたが??(笑)
 
「旅寅よ、さすがに口八丁やの、よぉ収めとるわ。俺でも1年目に実は1回知り合いに助けを求めたことあったからなぁ~・・・わっはっは(笑)」
 
・・・この詐欺師め"(-""-)"
 
ただ僕にとってラッキーだったのは、友達の馴染みの父親が、警察関係者だったことでした。例えば後ろ盾のないヤカラな人に因縁つけられたら、ヤ〇ザ屋さんに処理を頼むイメージって、殆どの人がドラマの影響とかで持ってるだろうけど・・・。
でもどんな業界でもそうかもしれないけど、やっぱりプロに頼むって結局、お金がかかるし、逆に動けないらしいんですよ、プロは、プロでもない相手には・・・(そっちが脅迫になるから)ぶっちゃけ、警察やら弁護士やらの方がそっち系には強い。
色んな業界の、そういう脅迫されるリスクを背負う企業達が、警察OBの天下り先になってるって話を何かでチラッと読んだことがあったけど、僕は風俗をしてその理由が初めて分かった気がしました。
 
ただ当時はもう、殆どの嬢が新規を大量のリピーターに変えてくれたおかげで、うちは本当に安全な店になっておりました。お客の7~8割が「知ってる顔なじみの人」なのだから、接客中の事故はそうそうは起きないでしょう。しかも、広告費はレギュラーで打っている新聞広告とNET関連だけにとどめても十分に新規は確保できてたりして・・・。まさに「超省エネ店」ですな。
 
僕はオーナー補佐的存在になっていたYちゃんとAちゃんを集め、事情を説明しました。
 
「ってなわけで、たたむか続けるかやねんけど、2人ともまだ店あった方がええか?」
 
2人は顔を見合わせて大きく頷いた。
 
「給料ガクッと落ちても現場からあがりたいって人、おる??Yちゃんは?」
 
「落ちるって・・・どれくらいですか?」
 
「Yちゃんの場合なら4分の1以下くらいかもね」
 
「いや、パスです(笑)私は無理(笑)」
 
「Aちゃんは?」
 
「え?でもOLの手取り位は貰えますよね?」
 
「うん、それは十分。オーナーの取り分から給料渡すからこれから店番してくれるか?お前なら、この1年見て来てお金に汚くないのは知ってるから安心や。ただし、もう今までみたいに好きな時休むとかでけへんぞ?土日祝以外は全部出勤や。っていうてもお前の場合は隣の部屋に来るだけやけどな(笑)大丈夫か・・・?」
 
「大丈夫です!!」
 
「ま、Aちゃん、また徹底的に仕込むけど、安全にだけは十分気を遣ってくれな"(-""-)"毎日の収支は最後の女の子が帰った後にAちゃんが俺にメールしてくれたらええ。売り上げは金庫に入れといて、手空いた時にでもオーナーの口座に入金して。HPの更新や広告屋の対応、面接は俺が空いてる時間にするわ。条件変わるから辞める子もおるやろけど、ま、レギュラー5人がおれば店は回るから、2人ともこの店を続けたい間は、いい雰囲気を維持しておいてくれ。送迎なくなったらガンガン休む子も出てくるやろけど、それはしゃーないやろな。とりあえず新規、リピとも店の取り分減らして交通費に充てるようにしましょ」
 
うちは、思えば不思議な店だった。
 
彼女らは自分の裁量でリピーターを回しているのである。確かに定期的に補充される新規によって収入ダウンが防がれている部分はあったにせよ、はっきりいえばお客さん全員に自身の連絡先を渡してお店をやめてしまえば明日からはもう、1円も抜かれることなく個人で全額儲けられるのだ。事実、そうやって辞めた人もいた。
 
ただその5人に関しては、皆一様に辞めなかった。ワイのワイのと毎日くだらない話を言い合いながら、それはまるで小さな女子高に通うかのようだった。
 
「なぁ、Eちゃん?君、個人でやった方が儲かるやろ?何でここ辞めへんの?」
 
1度、送迎中にそんな風に聞いたことがある。
 
「ん~・・・楽しいからでしょうね?Yちゃん以外は、私ら4人とも風俗の面接とか体験入店ってしたことあるんですよ。でもこんな緩い感じの雰囲気の店って、まずないですもん。抜かれる額も少ないし、やっぱり個人でやるより安全やし。5人でボーリングとかカラオケとか忘年会とか園田競馬場って・・・珍しいんとちゃいますかね?オーナーのその変わった性格が私らに合ってるんとちゃいます?(笑)」
 
(なるほどな、つまりこの店は風俗嬢にさえなかなかなれない彼女達が社会に適応する気分を味わえる数少ない店、というわけか・・・)
 
現在、デリヘルは女性が運営しているケースが物凄く多い。女性の方が何かと女性の気持ちが分かるし、安全管理さえきちんとできる人なら、女性の方が良いんじゃないかとさえ思います(しかも女性がしてる店は伸びる傾向があるような(笑))
僕がAちゃんに店を任せた頃に彼女に繰り返し教えたのは、安全対策だけは今までのオーナーのしてきたことを真似ること、嬢の命を預かっていることを忘れないこと、ただそれだけでした。
 
店長・Aちゃんもさすがにそこだけは厳守してくれましてね。僕も休みや夜間など、時間を見つけては差し入れなどを持っていき、相変わらずオーナー業務は続けておりました。
 
うちの店は、ひっそりと、でも粘り強く続いていたのです。
そう、あの事件が起きるまでは・・・。
 
それは開店してから3年が経過しようかという頃のことでした。

監禁

Aちゃんから泣きながらTELが入ったのは夕方でした。僕はその日仕事がお休みで、朝、Aちゃん以外の3人を店まで送り、その後、知人と昼ご飯を食べに行っておりました。ただならぬ雰囲気はすぐに伝わってきましたね。

 

「オーナー!マズいです!私のせいです!!スイマセン・・・」

 

「落ち着け落ち着け、何があったんや??」

 

「今日、新規の、車のお客さんからYちゃん指名の電話があったんですけど、予め聞いてた車種とナンバーじゃない車で来たらしくて・・・」

 

「えっ??で、Yちゃんそれに気付いてたんやろ??どうしたん!?」

 

「Yちゃん、今月は稼ぎたいから乗るわって・・・。大丈夫やって・・・」

 

「えええっ!!マジかよ!!止めへんかったんか!?客の携帯番号は!?」

 

「・・・スイマセン。折り電してちゃんと確認したんですけど、さっきからかけてもかけても電源が入ってなくて・・・」

 

「飛ばしかプリケーやろな。で・・・Yちゃんの携帯は!?」

 

「それが・・・コールはするんです・・・。ただ出ません・・・」

 

「Yちゃんからは入室のTELはなかったんやな?最後のTELからどれくらいや?」

 

「今で1時間です・・・」

 

「えっ・・・!?そんなに経ってんの・・・!?」

 

・・・マズい、マズい、マズい。

まさかあれほどルールを厳守してきたYちゃんが、こんなことになるとは。

油断、楽観、風俗の敵である。

これはもう、完全に管理を人に委ねた僕の責任だ。

是が非でも彼女を救わなければならない。ただ・・・

 

(自分の意志で乗り込んだ。つまり強引に引きずり込まれて連れ去られたわけではない。さすがに複数の男が乗っている車なら、Yちゃんも乗りこまんやろ?)

 

「Aちゃん、で、実際来た車種は何やったん??」

「聞いてたのはセダンだったんですけど、小さな白い軽だって言ってました」

 

(ってことは・・・後ろに誰かが隠れていた可能性は少ない・・・と。軽を1人で運転しながら助手席の女性をどこかに連れ去るのは、まずスタンガンとかで気を失わせない限りは無理や。しかもYちゃんはあの気の強さ、抵抗するやろうし、そういう時は信号待ちで停まった瞬間に逃げろ、と何度も教えてきたしな。しかも携帯の電源は入ってる。その辺をひっくるめて考えると・・・)

 

僕は自分を落ち着かせるように静かに考えた。もし彼女がホテルに向かわず、もうどこかの港やら倉庫やらに連れていかれていたとすれば、正直アウトである。

でももしホテルに入室してから何かがあったのなら・・・

 

(とりあえず片っ端からホテルあたるしかないな・・・)

 

ただ、何か悪さをしようという奴が、店から至近のホテルに行くだろうか?

(薄いかな・・・でも、行くしかないか・・・)

最寄駅付近のホテル街はそれほど大きくはなく、ホテルは数軒しかない。電話をするより、白い軽を求めて駐車場に行った方が確実だろう。Yちゃんの電話を鳴らしながら車を走らせ始めると・・・えっ!?何と繋がったではないか!?

 

「ええっ!?Y、無事か!?おいっ、大丈夫か??」

 

「・・・・あ・・・・オー・・・・お・・・・」

 

プチッ!!

 

えええっ!!今のYの声やん!?何で切れるわけ?まさか犯人に切られたんか!?

再度、コール!!

 

・・・コールは・・・する・・・

 

(・・・いや、Yは無事や。犯人が電話に気付いているなら、電源落とすなりするやろ。今の声からしたら彼女は意識朦朧・・・多分・・・)

 

「何か盛られたな」

 

確信があった。しかも電話の背景のノイズ音からして、あれは室内ではなかった。

もう、恐らくYちゃんは外に出ているはずだ。

 

僕は1つ深呼吸をして、近所のホテル街に猛スピードで車を向かわせた。今まで色々あったけど、これは最悪になりかねない。そう、風俗とはこれほど危険な仕事なのである。今更ながらそれに気付き、めまいがした。潮時だと思った。彼女にもしものことがあったら、親族や彼氏にどうお詫びをすればいいのか・・・

 

とか考えていると、僕の携帯がまた鳴った!Yちゃんからだ!

 

「・・・お・・な・・・・」

 

「Yよっ!今おる場所だけ言ってくれ!迎えに行くから!そこはどこや!?何か目印ないか!?」

 

「・・・・じ・・・ん・・・じゃ・・・・」

 

プチッ!!

 

(き・・・切れるなよ(涙)ジンジャ・・・エール!?看板か!?それとも・・・神社・・・神社かっ!?)

 

再度掛ける。・・・・ゲッ!?遂に電源は切れてしまった!!

 

(マズい、これはマズい。電池切れはマズい・・・)

 

マズい理由は多々ある。

 

まず、神社といっても、そんなもん大阪には無数にあるではないか!?それだけではまず探しようがないのである。

更に、仮に彼女が僕の予想通り誰かに薬を盛られて野外で気を失っていると仮定したら、警察に通報される可能性が非常に高い。彼女はアリバイ会社に登録していて、実家の家族や彼氏には事務員ということになっている。もし、警察が薬を盛られてホテル街近辺で倒れている彼女の状況を家族に伝えたら・・・

 

(いや・・・もうそれはラッキーなくらいや。とりあえず無事が先決や)

 

そう思った瞬間・・・頭の中を電流が走った。

 

「あの神社やっ!!」

 

・・・ある・・・あるではないか!?ホテル街に神社が( ;∀;)ここから1駅離れた場所のホテル街の脇に、確か神社がある!恐らくアソコしかない、間違いない!!

 

キュキュキュキュ・・・・と急発進!!

 

もう僕の中ではあそこ以外に選択肢はない。ただ恐ろしいことに、あの神社には確か交番が隣接していたような・・・???

 

そして辿り着いたその神社で僕が見た光景は・・・・

違法薬物混入

・・・なんと交番の背面の壁にもたれかかり、ぐったりと、まるで酔っぱらいのように座り込んでいるYちゃんだった!

 

(ビンゴッ!!おった!!!)

 

素早く交番の中を窺うと・・・ラッキー!!警察おらんし!?"(-""-)"

 

エンジンをかけたまま雑に路駐した僕は、Yちゃんに駆け寄り、声をかける。

 

「おいっ!Y!!大丈夫か!!?」

 

顔が・・・紅潮している。にもかかわらず、アルコール臭は一切しない。

ぐったりしたYちゃんに肩を貸し、どうにか助手席へと運ぶ。

 

(おっ・・・重い・・・)

 

身長も高く、そこそこポッチャリ気味な彼女を運ぶのは、難儀だった。

シートを倒した上に横にならせて、すぐさま急発進!!

とにかく運転しながら事情を尋ねようとするも、Yちゃんのリアクションは皆無だった。様子を窺うと、苦悶の表情と紅潮した顔もさることながら、頸動脈の脈がとんでもない速さだ。そしてガチガチと震えてもいて、これは・・・ただ事ではない。

 

(吐かせるしかねーな、即座に)

 

胃や腸が薬物を吸収してしまう前に、出してしまわなければどうもマズい気がする。

だいたい、僕はタバコは吸うにしても、薬物なんぞに一切興味がないのだ。彼女が一体何をどうされたのかなんて、想像もつかない。

 

(シャブか?それとも、違う何かか?)

 

しばらく走ると、市街地の中にある公園を発見した。もはや一刻の猶予もないだろう。

脇に車を停め、肩を担いで公園の敷地に彼女四つん這いにさせると、僕は思い切りYちゃんの背中をさすった。

 

「出んか・・・。Yちゃん、ちょっと堪忍やで・・・」

 

そして指を彼女の口に突っ込んだその瞬間・・・・

 

 

どっばぁ!!

 

 

と、噴水のような勢いでオレンジ色の液体が地面に放出された。

 

(ファ・・・ファンタオレンジか・・・!?)

 

いや、マジでそんな色でしてね、もう、見たことがない色。

多分ジュース飲んだ中に何か入れられたんでしょうが、それにしてもこの大量は何だ!?いや、こんな嘔吐はほんま・・・生まれて初めて見るわい"(-""-)"

 

いったん止まった放出は、背中をさすると再度再開する。

 

胃の内容物が液状化して全部出てる感じだろうけど・・・さすがにこれだけ出たら体調はだいぶん改善されるんとちゃうのか??

 

ひとしきり吐き終えたYちゃんは、ようやく小さく呟いた。

 

「す・・・スイマセン・・・オーナー・・・」

 

再度助手席に寝かせて、とりあえず僕は尋ねてみた。

 

「なぁYちゃん、病院行くか?大丈夫か?」

 

震えながらも、力強く即座に首を振るYちゃん。

看護師だけに、ま、その辺の判断はできるでしょう。

事務所に電話を入れ、Aちゃんに無事を伝える。

そしてYちゃんを彼女のマンションまで送り、洗面所で再度最後の最後まで吐かせ、水を飲ませてベッドに横にし、毛布2枚と掛け布団を掛けて・・・

 

(・・・凌いだか・・・何とか・・・)

 

Yちゃんはようやく悪寒が止まったらしく、スヤスヤと寝息を立て始めた。

脈も収まり、顔の紅潮も消えた。恐らく、もう大丈夫だろう。

今まで嬢の部屋になど入ったことなかったけど・・・ま、普通の女の子の部屋である。そう思うと、僕の固まりつつあった決意は更に固まった。

 

引き際だ。もう、お開きの時間だ。

 

(普通の女の子の部屋に住んでんだから、普通の女の子に、看護師に戻るべきやな、この子も・・・)

 

次こんなことがあったら、助けられる保証はない。

 

ちなみに、目覚めたYちゃんから聞いたその日の経緯なんだけど・・・

 

Yちゃんは車で、真面目そうなお客に貰ったジュースを飲んだんだそうだ。特に、変な味がしたというわけでもなかったらしい。入室する前くらいから、急激に眠気に襲われて、入ってソファーに腰を下ろした段階では、もう意識が混濁し始めたようで、そこからのことはうる覚えなのだという。

 

ただ、はっきり覚えているのは、お客が固定ビデオをセットするような3脚を組み立て始めたことと、そこからはとにかく大声を張り上げて自分が転げ回ったこと。

 

その後のことは・・途切れ途切れなんだそうな。

 

ただ必死に誰かに「大丈夫です」と言った記憶と、ホテルから公園へ向けて壁伝いに歩いた記憶と・・・。

 

その後、元気を取り戻したYちゃんの出勤を待ち、僕はレギュラーメンバー4人と話し合い、閉店を納得してもらったのです。

 

こうして僕のオーナー生活は終わりました。

 

以降、Aちゃん、Yちゃん、Sさんはおのおの結婚しました。残りの2人も、割り切りや風俗から足を洗ったようです。それは元オーナーとしては凄く嬉しいことで、いまだに5人はたまに連絡を取り合っております。

 

ちなみに・・・

 

Sさんは閉店後も少しの間、個人で動いていたそうなのですが、先日チラッと聞いた話では、以降1度だけ、この事件のYちゃんよりも遥かに怖い目にあったのだそうです。無事生還して帰宅した時は腰が抜けた・・・と。

 

「やっぱり個人でしたら怖かったですね、誰も助けてくれへんしね。何があったか聞きたいですか?オーナー??」

 

「いえ・・・もうオーナーじゃないので結構です。お腹一杯"(-""-)"」

 

女性の皆さん、危ない道を渡らずに、太陽の下を健やかに歩いて下さいね"(-""-)"

※当ブログ主のコラム、好評連載中

今回は「大阪裏観光マップ」!?

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